オウンドメディアのコンセプト設計方法は、情報収集段階のユーザーニーズをどのように満たすかを明確にし、言語化する過程で作り上げるます。
オウンドメディアの運用目的がメイン事業の商品販売の場合、情報収取段階のユーザーが抱えている不安をどのような形で解決するかがコンセプトの骨格になります。メイン事業の商品コンセプトと大きくことなるオウンドメディアコンセプトを設計してしまうと、オウンドメディアから決済ページへの離脱率が高まる可能性が高くなります。
参考AISCEASとは-購買行動モデルを表すマーケティング用語解説-
目次
オウンドメディアにコンセプトは必要か
オウンドメディアを構築・運営するにあたってもちろんコンセプトは必要です。コンセプトを明確にすることによって、読者にメディアの価値や方向性を伝えることもできます。
オウンドメディアのコンセプトは、「自社の強みを洗い出す」「ユーザーニーズの研究」「コンセプトを決定する」の3つのステップで定められます。
「自社の強みを洗い出す」とはコンバージョンに至らせるための強みを把握すること、「ユーザーニーズの研究」とは強みにマッチしそうな具体的なユーザー像を設定する作業のことを指します。この2つのステップを実施せずにいきなりコンセプトを決定してしまうと、ピントのずれたメディアになるので注意してください。
弊社のコーポレートサイト兼オウンドメディアの「medifund.jp」の事例を元にオウンドメディアのコンセプトの決定方法について紹介します。
また、運営者側にとってもメディアのコンセプトを明確化することは重要です。コンセプトを明確にすることによって、コンテンツ全体の方向性を統一できて、コンテンツ自体のクオリティがアップするだけではなく、チームでメディアを運利している場合でも個人の感性によってブレないメディア運営が可能となります。
オウンドメディアを構築する際は、サイトの設計段階からコンセプトを考えておくべきですし、PVや平均滞在時間などのKPIと共にメディアの軸がぶれていないかも定期的にチェックしておいた方が良いでしょう。
オウンドメディア導入前に知っておくべきポイントや設計方法については、以下の記事で紹介しています。
参考オウンドメディア導入前にやるべき設計ポイント3選-事例からわかる工夫も
闇雲にオウンドメディアを立ち上げたいという気持ちだけで突き進むのではなく、事前のリサーチや準備が必要です。
失敗せず、無駄にならないオウンドメディアを構築して運営するために、事前に確認しておきましょう。
オウンドメディアにおけるコンセプトの決め方
オウンドメディアのコンセプト設計方法は、情報収集段階のユーザーニーズをどのように満たすかを明確にし、言語化する過程で作り上げます。
オウンドメディアの運用目的がメイン事業の商品販売の場合、情報収取段階のユーザーが抱えている不安をどのような形で解決するかがコンセプトの骨格になります。メイン事業の商品コンセプトと大きくことなるオウンドメディアコンセプトを設計してしまうと、オウンドメディアから決済ページへの離脱率が高まる可能性が高くなります。
コンバージョンに関与する自社の強みを洗い出す
オウンドメディアのコンセプト決定の最初期段階で実施するのが自社の強みの洗い出しです。自社の強みはメディアのコンバージョンと密接な関係があります。
例えば、medifundの場合、お客様のオウンドメディアの構築、運営代行などがコンバージョンになるので、そこから逆算して自社の強みを洗い出します。オウンドメディア構築や運営を私たちに任せたいというお客様は、おそらくオウンドメディアを構築したいけれども何から手をつけて良いか分からない、オウンドメディアを運営しているけどいまいち結果がでていないはずです。
この「構築の仕方が分からない」「メディアで結果が出せていない」というのがお客様の課題で、それを解決するのが私たちのサービスです。特に私たちはオウンドメディアに関わる企業の中でも通常のWeb制作会社やSEO対策会社とは異なり、戦略フェーズから一貫してサポートできる事に強みを持っています。
このような自社の強みは「コンバージョンから状況を逆算する」「企業の強みと弱みを把握する」「自社の強みを洗い出す」の3つのステップより導きだされます。
コンバージョンから状況を逆算する
自社の強みを洗い出す上で重要なのはコンバージョンから逆算することです。メディアを運営したいと思う企業にはそれぞれ何らかの目標があり、それを達成させるためには自社の何をアピールすれば良いのかを考えます。
例えば、自社は企業向けにオウンドメディアの構築サービスを展開しているので、まずそのサービスを販売する(コンバージョンさせる)ためにはどのようなお客様に何を伝えたいのか、競合は何なのかを考えます。おそらくクライアントはWeb制作会社やSEO対策会社と比較することが多いと考えられます。また、設立が令和元年なので、これらの業者と比較しても若い会社です。
つまり、SEO対策会社や老舗で実績豊富なWeb制作会社と比較して、お客様はなぜ自社を選ぶのかを明確にしなければなりません。
企業の強みと弱みを把握する
お客様がなぜ自社を選ぶのかを考えるためには、強みと弱みを把握する必要があります。もちろん、強みと弱みは相対的なものなのでお客様が競合と考えるであろう業者の強みと弱みも分析しなければなりません。
例えば、medifundの場合、SEO対策に強い業者とSEOの知識で勝負しても最新のアルゴリズム研究では負けてしまうかも知れませんし、デザインに強いWeb制作会社と事例で勝負しても私たちはまだまだ創業したての会社なので実績が乏しく不利になります。よって、これらをmedifundの強みとして挙げるのは止めておいた方が良いでしょう。
一方でSEO対策業者はSEOには強いけれども全体を俯瞰してマーケティングの戦略を構築する能力には欠けているかもしれません。また、デザインに強いWeb制作会社も見栄えの良いWebサイトが構築できてもそれを成果に繋げられるかわかりません。
自社の強みを洗い出す
競合の強みと弱みを把握した上で、できるだけ競合と強みを重複させない、競合の弱みをつくような自社の強みを考えてください。
medifundの場合、競合が弱く自社が強みを持っている事として、オウンドメディア構築の前提となる営業やマーケティングの戦略レベルからお客様を支援できる特徴があります。
よって、ただSEOやWebデザインに興味があるだけではなく、戦略の段階からサポートを必要としているお客様をターゲットにするべきだということになります。
SWOT分析でメイン事業の強みと弱みを再認識をする
SWOT分析にて、メイン事業の強みや弱みを把握し、コンセプトを再確認します。
SWOTとは
- Strengths(強み)
- Weaknesses(弱み)
- Opportunities(機会)
- Threats(脅威)
の頭文字を表しています。
内部環境とは「自社がコントロール可能なもの」、外部環境とは「自社がコントロールできないもの」を意味します。
SWOT分析はマーケティング戦略を考える際に多く用いられるフレームワークですが、SWOTを整理することにより自社の事業を客観的にとらえることができ、コンセプトの決定に役立ちます。
参考アイデアが湧き出る発想法|10種のフレームワークでビジネスアイデアを量産
ペルソナを設定する
商品を決済するユーザーのペルソナを作成します。
自社の強みが見つけ出せれば、次はその強みがはまるユーザーを具体的にイメージします。ユーザーを具体化に想定することによって、文章の書き方、想定するリテラシーなどがイメージできるので文体が最適化できます。
また、ユーザーを具体化することはユーザーニーズの発見に繋がります。ユーザーを想定するためには第一段階としておおよそのニーズが必要です。しかし、おおよそのニーズだけ存在しても細かいニーズは想定できません。
おおよそのニーズからユーザー像を割り出してから、ユーザー像をもとに細かいニーズを考えた方が色々なアイデアを創出しやすくなります。
ユーザー及びユーザーニーズを導き出すためには「ユーザーのペルソナを設定する」「ユーザーが求めているものを考える」の2つのステップが発生します。
ユーザーのペルソナを設定する
コンセプトを考える際は想定するユーザーをできるだけ明確にした方が良いでしょう。
例えば、漠然と「30代、男性、育毛剤に興味がある」など特徴を列挙するだけではユーザー像は明確になりません。
「名前は○○で、年齢は○○、どのような会社に勤務していて、ライフスタイルは××、いつから育毛に興味が出て…」といったように一見したところターゲットを絞り込むのに必要なさそうな情報についてもイメージしてください。
このようにターゲット像を具体的な人物レベルまで具体化させることをマーケティング用語で「ペルソナを設定する」と言います。
ペルソナを設定することによって、その人物に向いている文体やリテラシーに合わせて使うべき用語が明確になるので文章が最適化できますし、ユーザーが求めているものも想定しやすくなります。
また、ライターやエディターなど複数のスタッフがメディア運営に関わる場合でもイメージを統一させることによって、個人の解釈によってぶれにくいコンテンツ制作、メディア運営が可能となります。
情報収集・比較検討段階のユーザーニーズを想定する
商品決済段階のユーザーと情報収取段階のユーザーニーズは異なるため、情報収集段階のターゲット像を明確化する必要があります。
設定したペルソナを元に、商品を決済する前にどのような購買心理の変化があったかをカスタマージャーニーマップを使って想定します。
設定したペルソナから細かいニーズを考えていくペルソナが設定できたらユーザーが求めているものを考えます。ペルソナを設定するためにはおおよそのニーズをイメージすることが重要なので、ニーズが先かペルソナが先か迷われるかもしれません。
実際には大よそのニーズを想定してペルソナを設定、細かいニーズを考えます。そして、全体としてちぐはぐだと感じたり、おおよそのニーズから想定されるペルソナ像に無理があれば、もう一度、強みの洗い出しに戻ることもあります。
ユーザーが求めている細かいニーズの洗い出しについては、コンセプトを決めた後でも良いですが、コンセプトと同時に考えると、その後のメディア運営がしやすくなります。
例えば、medifundの場合は、読者としてメディアの戦略段階からサポートが必要なユーザーを想定しています。よって、一般的なWebサイトの構築やSEOに関するニーズがあるのを想定しているだけではなく、メディアの運用体制やコンセプトの決め方など戦略フェーズに関する情報についても積極的にメディア内に入れるようにしています。
情報収集段階のユーザーの課題をどのように解決するかアイデアを出し、言語化する
「自社の強みの洗い出し」「ユーザーニーズの研究」の両作業が完了すればコンセプトを決定します。両作業が終了した段階で自然とコンセプトは明確になっているでしょう。
もしも、両作業を行った上で、コンセプトがまだ思いつかない場合は、強みの洗い出しが不十分だったり、想定するユーザーやニーズが的外れだったりとなんらかの不具合が発生している可能性があります。
ちなみに、コンセプトが決定した後に、コンセプトから想定するコンテンツ、目標としているコンバージョンまでの筋道が妥当かどうかも検証した方が良いでしょう。
せっかく良いコンセプトであっても、オウンドメディアから目標とするコンバージョンが発生しなさそうであれば、コンバージョンかメディアのコンセプトのいずれかを調整しなければなりません。
また、コンセプト決定の作業工程のどこかでブレが発生している可能性が高いので、ユーザーのペルソナやニーズなどについて見直した方が良いでしょう。
情報収集段階のユーザーニーズを満たすオウンドメディアがどのようにユーザーの課題を解決するのかがコンセプトの骨格です。課題解決時に満たす欲求、変化させる感情をヒントにどのようにユーザーの課題を解決するか言語化しましょう。
成功オウンドメディアのコンセプト事例
オウンドメディアのコンセプトは、企業が抱える課題とユーザーのニーズに通ずる部分から決定します。せっかくオウンドメディアを立ち上げても、コンセプトがずれていたり、コンテンツにブレがあると望む結果に結びつきません。コンセプトの決定は話し合いを重ね、慎重に行ないましょう。
参考コンテンツマーケティングで参考にすべき30事例と実施戦略【国内オウンドメディア】
通販×メディアで成功した「北欧、暮らしの道具店」
通販×オウンドメディアにおける成功事例としてよく挙げられるのが「北欧、暮らしの道具店」です。月間1,500万PV、ユニークユーザー170万人を誇る人気サイトで北欧風の家具や雑貨の記事を中心に、北欧テイストが好きなお客様にライフスタイルを提案しているメディアです。
グループウェア×自社の働き方=新しい価値を生み出すチームのための、コラボレーションとITの情報サイト「サイボウズ式」
(引用:サイボウズ式)
グループウェアや業務改善サービスを展開するサイボウズ株式会社。そのサイボウズが運営する「サイボウズ式」のコンセプトは、「新しい価値を生み出すチームのための、コラボレーションとITの情報サイト」です。
サイボウズでは育児・介護・通学・副業などの個人の事情に応じて、勤務時間や場所を9分類の中から決めることができるという制度を採用しています。
在宅勤務や週3・4日勤務をする人も多く、その多様な働き方はIT業界以外からも注目を集めています。
先進的な自社の人事制度という強みを活かし、サイボウズ式では「チームワーク」、「新しい働き方(ワークスタイル)」、「多様性」の3つを軸にコンテンツを掲載しています。
消費×女性社員=新しい働き方と暮らし方「SAISON CHIENOWA」
(引用:SAISON CHIENOWA)
カードビジネスやファイナンスビジネスを手掛ける株式会社クレディセゾン。そのクレディセゾンが運営する「SAISON CHIENOWA」のコンセプトは、「新しい働き方と暮らし方」です。
働き方や暮らし方を良くすることで、消費、さらには自社のビジネスに繋がりが生まれるという発想のもと、一般消費者との新たなタッチポイントという位置づけでオウンドメディアの運用を開始しました。
また、全社員のうち約8割が女性を占める強みを活かし、読者のインサイトとサイト運営者(社員)のインサイトが近いコンテンツを掲載しています。
エナジードリンク×イベントスポンサー=翼をさずける「Red Bull」
(引用:Red Bull)
エナジードリンクの販売を行うレッドブル。オウンドメディア「Red Bull」のコンセプトは、商品コンセプトと同じく「翼をさずける」です。
レッドブルはF1やフリーフォール、エクストリームスポーツの大会・イベントスポンサーをしているという強みから、アスリートにフィーチャーしたコンテンツを掲載しています。
一人ひとりを詳細に描いたコンテンツは、まるで目の前でスポーツを見た時のような感動を生み出し、ユーザーへのイメージ訴求につながっています。
オウンドメディア成功のカギはコンセプトにあり
オウンドメディアを成功させるためには、自社の強み、ユーザーニーズを反映したコンセプト作りが必要です。コンセプトが明確であればユーザーはそのメディアの価値を正しく把握し、運営側もブレのないコンテンツ制作が可能となります。
コンセプトは突飛なアイデアにより生み出されるのではなく、きちんとした手順を踏むことによって誰でも決定することができます。
メイン事業や商品コンセプトを軸として情報収集段階のニーズをどのように満たすかがオウンドメディアのコンセプトになります。
まずはメイン事業(販売する商品)のコンセプトを言語化することからはじめましょう。
コンセプトの決定やオウンドメディア運営に不安を感じる場合は、オウンドメディア構築のご相談をご検討ください。
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