SEOでは、コンテンツの品質だけでなく、そのコンテンツが配置されるドメインの強度(Domain Rating, DR)がランキングに大きな影響を与えることがあります。特に、複数のドメインを保有している場合、どのドメインにどの記事を配置するかはSEOパフォーマンスに直結する重要な決定となります。
しかしその影響力がいかほどなのか、具体的に示せる人は少ないかもしれません。マーケターと名乗りつつも「こういう理由でこのドメインにはこういう記事を入れたほうが効果的である可能性が高い」と言えない人もいることでしょう。
また、複製コンテンツを使ってSEO実験を行いたいと思っても、「コピーコンテンツ」とみなされるリスクや、Googleからペナルティを受ける可能性を懸念する声もあります。
そこで今回は、美容クリニック関連の4つのメディアを対象に、複製コンテンツを異なるドメインに配置した場合のランキング変動の事例を分析しました。これにより、どのような要因がSEOに影響を与えるのかを探ります。
下記に実際にmedifundで実施した4つのケーススタディをもとに、SEO施策のポイントとドメインの強度に関する洞察をまとめました。
なんとなく分かっていたという状態でモヤっとしていた部分がスッキリするような、そんな内容となっています。
複製コンテンツとドメイン強度の影響:4つの事例分析
SEO施策において、同一コンテンツを異なるドメインに複製して掲載することで、どのようなランキング変動が生じるかを検証しました。
▼各メディアのドメイン強度と被リンク状況
※すべてAhrefsのDRでの算出
- メディアA:DR3(クリニック検索サイトの登録多め、被リンク施策により他院からの被リンクもあり)
- メディアB:DR10(ほくろやクマ取り関連の外科施術で他メディアから被リンクあり)
- メディアC:DR14(目元系の施術に強く、アートメイク、シミ取りなどで被リンク多め)
- メディアD:DR25(クリニック検索サイトの登録多め、サイテーション獲得も貢献)
以下に、4つの具体的な事例を挙げてその結果を分析します。
事例1: 複製記事が上位を獲得したが最終的には元ドメインが勝利した例
メディアAで検索順位が11位だったボトックス系施術の地域記事をメディアCに複製したところ、複製され後出しコピーコンテンツになったメディアCの記事が3位を獲得。元のメディアAの記事は11位から動かず、複製されたメディアCの記事はその後も上位を維持しました。
この事例ではメディアCの方がメディアAよりもドメイン強度が強く、さらに同一施術カテゴリの被リンクなどの外部要因が影響し、信頼性の高さが要因となっている可能性があることがわかります。
後発記事や複製記事(コピーコンテンツ)はマイナスになるというイメージがある人も多いと思います。しかし複製コンテンツであっても、より強いドメインのほうが有利になる可能性があると分かる事例です。
なおこの実験のあと、メディアAでPDCAをまわしリライトを行うことで、DR3のメディアAで同キーワードで1位へと上昇・維持させることに成功しています。
これは一時的にドメインの強さでコンテンツが負けてしまっても、リライトを行いユーザーの潜在的なニーズを捉えられさえすれば、ドメインの強さに左右されずにユーザーに情報をとどけられることを証明しています。
あくまでもリライトなしの状態では、ドメイン強度が強いほうが複製記事で有利になりやすい事例と言えるでしょう。
事例2: EEAT(専門性、権威性、信頼性)の強さが影響した例
AGA治療に関する記事をメディアBとメディアDで複製しました。メディアBは「AGA治療 大阪 おすすめ」で初動4位を獲得したものの、その後順位が低下。メディアDでは同一キーワードで9位から6位に上昇しました。
両メディアで少しずつ違いを出す施策を実施したところ、大きな施策の偏りがないにも関わらず、メディアBが「おすすめ系」「ランキング系」で強い一方、メディアDは「治療系」キーワードで強いという違いが発見されました。
メディアDはAGA治療のクリニック検索サイトなどの登録もあり、AGA治療薬についての投稿がクリニックの施術ページに存在するなど、AGAの治療においてメディアBよりもEEAT面で強化されていたことが関係したと考えられます。
これらの違いが複製記事でも順位に影響していると考えられ、最終的にはメディアBが足を引っ張る形となりメディアDで強化していく運びとなりました。
元ドメインよりも強度があるというだけでなく、いかに記事と同一のジャンルでEEAT面を強化しているのか、被リンクプロファイルとの親和性が高いかもポイントとなることがわかる事例です。
事例3: テコ入れなしでも複製放置で1位を獲得した例
メディアBで1位を取っていたクマ取り施術に関する記事を、メディアCに複製しました。今回はテコ入れをせず、素の状態でどうなるのかを確認したかったので、リライトを一切おこなわずに観察しました。
複製してからはメディアBの記事は1位から一転36位に下落し低迷するなか、メディアCに複製した記事は同一キーワードで初動3位となり、最終的に放置した状態で数日後に1位を獲得しました。
メディアCは、クマ取り施術での被リンクがメディアBよりも多くあったことから、同一キーワードでの信頼性や権威性が高くなっていた可能性があります。そのため複製記事に対してテコ入れをせずとも、後出しで高い順位を獲得できたと仮定できます。
事例2の結果もふまえ、テコ入れありでも無しでも、そのページとの親和性やEEATが重要であることがわかる事例です。
事例4: 2つのメディアで同時複製して被リンク数が少ない方が優位に立った例
メディアAで5位~6位をうろついていたほくろ除去の記事を、メディアBとメディアCに同時に複製しました(この時点でメディアAはインデックスを削除)。 メディアBでは順位がつかず、メディアBよりドメイン強度が強いメディアCでは、20位スタート。
メディアAよりドメイン強度が強い両メディアでしたが、DR3のメディアAの順位を抜けないという状況でした。
DR3のメディアAでは特に施策を実施せずとも上位表示していた記事が、より親和性があると思われる外科系の施術を多く扱うクリニックのメディアBでは開花しなかったのです。
その後、メディアCで順位が徐々に上昇しはじめたため両者にテコ入れをおこなったものの、メディアCだけ最終的に8位まで上昇し、おすすめ系クエリでは1位へ。
メディアBは特定の施術やほくろ・いぼ系の施術で被リンクを獲得しているメディアでしたが、そのリンクの質がとても悪い状況でした。
対してメディアCは、ほくろ関連の被リンクは多くないものの、医療機器や薬剤系の公式サイトから取り扱い施設・機関としての被リンクを獲得していたり、美容が好きなユーザーが良く知る人物からルーティンに含まれているクリニックとして紹介されていたりと、被リンクの質が高い状況でした。
そしてメディアAも同じく、肌治療系のクリニック検索サイトからの被リンクが多くあり、質が良かったのです。
なおメディアBとメディアCでは、DR10とDR14でそこまで大きな違いはありません。
よってこの事例では、記事の内容とクリニックの専門性が一致する被リンクを獲得していても、より被リンクの質が高いほうが有利になりやすいことを示していると言えます。
総括:ドメイン強度とSEOパフォーマンスの関係性
複数のドメインを活用した複製コンテンツの実験から、SEOパフォーマンスにおけるドメイン強度の重要性が改めて確認できました。
具体的には、以下のような関係性・影響があると考えられます。
ドメイン強度がSEO順位に与える影響
事例1からわかるように、同一コンテンツであってもドメインの強度が高い方がより有利な順位を獲得しやすいことが確認されました。メディアCのように、ドメイン強度が高く、関連性のある被リンクを持つサイトでは、後発の複製コンテンツでも高い順位を獲得する可能性があります。
しかし、元のメディアAがリライトなどのPDCAサイクルを回すことで、最終的には1位を獲得するなど、コンテンツの改善やコンテンツの質次第では、ドメイン強度に勝ることがある点は、無視できない重要なポイントといえるでしょう。
EEAT(専門性、権威性、信頼性)の強化がもたらす効果
事例2では、EEAT(専門性、権威性、信頼性)の強さがSEOパフォーマンスに大きく影響することが示されました。メディアDが「おすすめ」よりも「治療」のキーワードで強い理由は、AGA治療に関する信頼性の高いコンテンツと被リンクを多数保有していたためと考えられます。
このように、ドメイン強度が同程度でも、EEATの要素が強化されているドメインの方がSEOで優位に立つことができます。
被リンクの質と量の影響
事例4では、被リンクの質が順位に大きく影響することが確認されました。メディアBは特定の施術に関連する被リンクを持っていたものの、その質が低かったためにSEOパフォーマンスで苦戦しました。
一方、メディアCは被リンクの質が高く、医療機器や薬剤系の公式サイトからのリンクなどがSEO効果を強化しました。同様に、メディアAも肌治療系の高品質な被リンクを多く持つことで順位を維持できていました。
被リンクの数が少ない場合でも、その記事に対する質が高ければ優位に働く可能性が高いといえます。
複製コンテンツのリスクと可能性
複製コンテンツは一般的にSEOリスクが伴いますが、今回のケーススタディでは、戦略的に利用することでSEOパフォーマンスを向上させられることが分かりました。
重要なのは、複製先のドメインの強度や被リンクの質、そしてコンテンツのリライトや改善による最適化です。
そして、きちんとユーザーニーズを把握したうえで記事を制作するのであれば、ドメイン強度の影響をある意味無視して、上位表示が狙えるという点も重要といえるでしょう。
実際に今回の事例にあるDR3のメディアでも、さまざまな美容肌治療系のキーワードで1位~3位など上位表示できている点も、それを裏付けていると言えます。
美容クリニックドメインの影響も確認するために全く関係のないドメインに記事を複製しましたが、そちらでも上位獲得できていたため、コンテンツの質は複製であっても新規記事であっても重要であることに変わりありません。
今後の施策と考察
ドメイン戦略の最適化
複数のドメインを持つ場合、どのドメインにどのコンテンツを配置するかを戦略的に判断する必要があります。ドメイン強度が高く、関連性のある被リンクを多く持つドメインに重要なコンテンツを配置することで、SEO効果を最大化できます。
記事が少ないドメインに入れたり、DRが高いというだけで入れたりしていては、上位表示獲得が難しくなる可能性があります。
被リンクの質の向上
被リンクの量だけでなく、その質も重要です。質の高い被リンクを獲得するためには、関連性の高い信頼できるサイトからリンクを得る施策を継続的に行うことが求められます。
今回の事例で言えば、美容医療の場合には同じ美容クリニックからの被リンクよりも、医療機器メーカーや専門機関からのリンクが効果的である可能性が高いです。
コンテンツのリライトと最適化
ドメイン強度だけでなく、コンテンツ自体の質もSEOパフォーマンスに影響を与える重要な要素です。ユーザーのニーズに応える質の高いコンテンツを作成し、定期的にリライトや最適化を行うことで、長期的なSEO効果を維持できます。
ユーザーニーズの理解が難しい場合や、そもそもリライトする時間がないという場合には、弊社でサポートすることが可能です。
まずはこちらから、お気軽にお問い合わせください。
EEATの強化
コンテンツの専門性、権威性、信頼性(EEAT)を強化することで、SEOパフォーマンスの向上を図ることも大切です。
特に、専門性の高い分野においては、コンテンツの品質を高めると同時に、信頼性の高い情報源からの被リンクを獲得することが重要です。
専門家に監修してもらうだけでなく、実際に体験したり、独自の要素を含めてユーザーに役立つ、ツールとなるような記事になるようにすることがポイントといえるでしょう。
まとめ
複製コンテンツとドメイン強度の実験から得られた結果は、SEO戦略において複数の要因を考慮する必要があることを示しています。ドメイン強度、被リンクの質、コンテンツの質、そしてEEATの強化など、総合的なアプローチでSEOパフォーマンスを最適化することが求められます。
medifundでは、今後もこのような社内メンバーのPDCAの内容や施策の一部をブログで共有することで、ユーザーに本当に役に立つ、背中を押せるコンテンツが増えていく未来を担う会社になれるよう、ブログを通しての発信を継続していきたいと思います。
執筆者:i-SHOT株式会社 medifund/メディア事業部
関谷
メディアとSEOが好きで、アライアンスメディア関連の高速PDCA/FETEループをまわして数値を改善するお仕事をしています。ドメインの力よりもコンテンツの質を大切に、データとともにクライアントと一緒にユーザー第一で取り組んでいます。
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