オウンドメディアの効果測定方法は複雑で、運営目的や運営期間によって異なります。オウンドメディアの主な効果測定指標は、流入数、読了率、他ページへの誘導率、サイトのゴール達成数・率です。成果が出るまで期間を要し、効果測定が複雑なオウンドメディアの計測方法をWebアナリストの小川卓氏にインタビューした内容をお伝えします。
株式会社HAPPY ANALYTICS代表取締役 小川卓
リクルート、サイバーエージェント、アマゾンジャパン等で勤務後、独立。複数社の社外取締役、デジタルハリウッド大学院の客員教授などを通じてウェブ解析の啓蒙・浸透に従事。
主な著書に『ウェブ分析論』『ウェブ分析レポーティング講座』『Webサイト分析・改善の教科書』『「やりたいこと」からパッと引ける Google アナリティクス 分析・改善のすべてがわかる本』など。
目次
オウンドメディアの効果測定方法
運用ステージに合った効果測定指標を設ける
オウンドメディアは立ち上げ時期と運用時期でそれぞれ適切な効果測定指標(KPI)を設ける必要があります。また、運用ステージの順番にオウンドメディアを改善する必要があります。
運用ステージ | 効果測定指標 | 改善点 | |
---|---|---|---|
1 | 立ち上げから3~半年 | 流入数 | 流入チャネル |
2 | 流入獲得ができたら | 読了率 | スクロール率、内容、画像など |
3 | コンテンツの改善ができたら | 誘導率 | ページ/セッション、誘導率の高いページの改善 |
4 | 誘導率が高まったら | 成果発生数(率) | 資料請求や送客ページの改善 |
1-1.オウンドメディア立ち上げ初期の効果測定指標
オウンドメディア立ち上げから3~6ヶ月程度に設けたい効果測定指標は流入数です。流入数がなければオウンドメディアの運用改善はできません。立ち上げ時期は他のKPIを意識せず、流入を増やす施策に集中すべきです。流入を増やすためには、まずは記事数が必要となります。記事数を担保できる前提の話にはなりますが、業界や想定ターゲットによって目標とすべき流入数は異なります。
- SEO
- SNS運用
- Web広告運用
- プレスリリース配信
1-2.ある程度の流入を獲得するオウンドメディアになったら設定したい効果測定指標
ある程度の流入をオウンドメディアで獲得できた場合、コンテンツの改善指標になる読了率をKPIとして設定します。読了率を確認するためにGoogleTag ManagerやGoogleAnalytics、ヒートマップなどでページ単位のスクロール率を計測します。読了率は、セッション数の多いページかつ、平均スクロール率が低いコンテンツを優先的に改善します。
- 画像の使い方を工夫する(ページの閲覧体験を充実させる画像か)
- タイトルの付け方(内容が気になるタイトルか)
- ユーザーに求められるテーマでコンテンツを作成しているか
- ユーザーにとって見やすいレイアウトになっているか
1-3.コンテンツの改善ができたら設定したい効果測定指標
コンテンツの改善ができたら誘導率を指標にします。ここでの誘導率は、ページ/セッションや誘導したいページへの遷移率などを計測します。
ページ/セッションは誘導したいページのCVRが高いユーザーはページ/セッションが高いという想定で、ユーザーをファン化させることができているかどうかの指標になります。
- 関連コンテンツをコンテンツ下部に記載
- 誘導しやすいコンテンツのリンクをコンテンツ内に掲載
- バナー画像の改善
オウンドメディアでは、「アクセスが集まるコンテンツ」「中継コンテンツ」「CV狙いのコンテンツ」の3パターンに使い分け、適切な形で誘導する必要があります。
コンテンツの種類 | コンテンツごとの効果測定指標 | 賃貸物件のオウンドメディアコンテンツの内容例 |
---|---|---|
アクセスが集まりやすいコンテンツ | 流入数 | レトルトカレーに関して |
中継コンテンツ | 誘導率 | 一人暮らしのTips |
CVしやすいコンテンツ | CVR | エリアごとの特徴を示したコンテンツ |
アクセス解析によりコンテンツごとに役割が決まれば、それぞれ異なる効果測定指標を設けることができます。全てに効くコンテンツがあれば良いのですが、そのような核となる記事は1つのサイトにおいて数本程度にとどまるため、記事の役割分担が大切になります。
1-4.誘導率が高まったら設定したい効果測定指標
誘導率の改善ができたらオウンドメディアが目標とする成果を効果測定指標として設定します。
ECサイトに誘導することが目的のオウンドメディアの場合はECサイトリンクへの誘導率、BtoB系オウンドメディアの場合は資料請求数などを指標にします。
効果測定のルールを決める
オウンドメディアがもたらした効果かどうかのルールを決めることがオウンドメディア運用では重要です。
例えば、オウンドメディアでサービスを認知し、サービス名を検索し、ユーザーが電話で問い合わせを行い、営業担当が対応した場合はオウンドメディアの効果とするかどうかを予め決めておく必要があります。この場合はサービス名検索数の推移や前年比を効果測定の指標とすると良いでしょう。
オウンドメディアからの直接CVだけを効果としてしまうと、オウンドメディア運用担当者への風当たりは強くなってしまう可能性があります。
社内や上司に対して共有しておくべき考え方
オウンドメディア運用は天然水が出来上がる課程と同じであるという考え方を上司や社長など、Webマーケティングに対するリテラシーが低い人に伝える必要があります。
- オウンドメディアは半年~1年成果が出ないことを伝える
- 運用スケジュールとスケジュールに対応した中間地点の目標
- 効果測定のルール
コンテンツ制作を外注する際の注意点
コンテンツ制作を外注する際の注意点として外部の制作会社に依存しすぎないことが重要です。まずは社内で制作する方法を考える必要があります。自社のサービスは社内の人材が最も詳しいはずです。
既存の業務がある場合は、オウンドメディア運用に取り組む前に辞める業務を明確にしてから運用に取り組む必要があります。
どうしても社内リソースがない場合はコンテンツ制作を外注する必要があるかと思います。その場合は、2~3本でいいので、成果に繋がりやすいページの原稿を作成し、SEO会社検索上位に表示されやすいコンテンツへと修正してもらう対応をとってもらいましょう。
コンテンツ制作を外注する制作会社とのコミュニケーションの取り方
アクセス解析を用いたコンテンツの評価やオウンドメディアの改善はコンテンツ制作会社に任せましょう。コンサルティング料金が別途必要になりますが、制作会社がアクセス解析に基づいた改善案を提案できるようにしましょう。
コンテンツ制作のみを依頼されたコンテンツ制作会社は過去に納品したコンテンツをリライトすることを嫌い、改善の必要性を提案しません。アクセス数の多いコンテンツのリライトをしやすい関係性でコンテンツ外注することをおすすめします。
オウンドメディア運用担当者が持つべき考え方
オウンドメディア運用担当者はビジネス視点だけでオウンドメディアの効果測定を行うのではなく、「ユーザーにとってコンテンツとして価値があったのか」を計測してほしいと思っています。
ユーザーのことを考えた運用は中長期的にオウンドメディアの成果に影響をもたらします。例えば、再訪問ユーザーが減るとオウンドメディアの成長が頭打ちになってしまいます。
- SNSシェア数
- 再訪問数(率)
- セミナーの申し込みやサービス購入
オウンドメディア運用は成果が出るまで時間がかかり、担当者の今期が必要です。追加したコンテンツがユーザーに評価されているかを見える化することでモチベーション維に繋がります。
モチベーションをアップさせる指標を見ながらオウンドメディア運用を根気強く行っていただけたらと思います。
モチベーションをアップさせる指標を見ながらオウンドメディア運用を根気強く行っていただけたらと思います。
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