連帯保証人の家族は差し押さえや強制執行の対象にならない

連帯保証人の家族は差し押さえや強制執行の対象にならない

連帯保証人が財産差し押さえになっても、家族の財産にまで影響は及ぶことはありません

ただし、連帯保証人は基本的に支払い拒否はできないので、支払いができず困っている場合はできるだけ早く専門家に相談しましょう。相談先としては日本弁護士連合会や自治体の相談窓口、法テラスなどがあります。

この記事では、多額の借金を肩代わりする事態になった人に向けて、今後の対応に役立つ知識をまとめました。

借金の肩代わりをすることになったら…

連帯保証人として借金を肩代わりすることになった場合、一人で抱え込む前に弁護士に無料相談することをおすすめします。

家族の財産が差し押さえられることはありませんが、借金の返済が発生するにあたり生活が困難になる可能性があります。

大切な家庭の生活を守るためにも、まずは弁護士に借金の減額相談をしましょう。

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目次

連帯保証人の財産が差し押さえになっても家族に影響はない

連帯保証人の財産が差し押さえになっても、家族の財産には何の影響もありません。法的根拠とともに確認してみましょう。

連帯保証人の家族に支払い責任はない

連帯保証人の家族には、借金を支払う責任はありません。民法によって、連帯保証人として支払う義務があるのは、連帯保証人本人と定められているためです。

第四百四十六条 保証人は、主たる債務者がその債務を履行しないときに、その履行をする責任を負う。

引用:民法第四百四十六条|e-Gov法令検索

つまり法律上、連帯保証人としての責任は個人の問題で、家族単位ではありません

借金の返済を滞納している場合であっても、家族には連絡もいかないケースがほとんどです。借金がある場合に家族に連絡が入るかどうかは、以下の記事で詳しく解説しています。

連帯保証人の家族の貯金や財産は差し押さえの対象にならない

連帯保証人の家族には支払い義務はないので、家族の財産は差し押さえられません

ただし、連帯保証人が死亡した場合は注意が必要です。家族が連帯保証人としての支払い義務も相続することになります。

自分に万一のことがあったときに家族を守るためにも、今から問題に取り組んで適切に対処しましょう。

第八百八十二条 相続は、死亡によって開始する。

第八百九十六条 相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する。ただし、被相続人の一身に専属したものは、この限りでない。

引用:民法第八百八十二条 第八百九十六条|e-Gov法令検索

連帯保証人は基本的に支払いを拒否できない

連帯保証人になってしまったら、通常抜け道はなく、請求された借金を支払う以外ありません。連帯保証人がどういう立場なのか、また連帯保証人を解除できるのはどんなケースかを説明します。

連帯保証人と保証人の違い

連帯保証人と保証人では、責任の重さが大きく違います。違いを確認したうえで、連帯保証人の責任の特徴を押さえましょう。

決定的な違いは、保証人は「こちらより先に、借金をした本人に請求や差し押さえをしてください」と言える点です。

(催告の抗弁)

第四百五十二条 債権者が保証人に債務の履行を請求したときは、保証人は、まず主たる債務者に催告をすべき旨を請求することができる。ただし、主たる債務者が破産手続開始の決定を受けたとき、又はその行方が知れないときは、この限りでない。

引用:民法第四百五十二条|e-Gov法令検索

(検索の抗弁)

第四百五十三条 債権者が前条の規定に従い主たる債務者に催告をした後であっても、保証人が主たる債務者に弁済をする資力があり、かつ、執行が容易であることを証明したときは、債権者は、まず主たる債務者の財産について執行をしなければならない。

引用:民法第四百五十三条|e-Gov法令検索

一方連帯保証人は、借主に返済能力があっても、貸主から請求された場合は自分が支払わなければなりません。払えない場合は自分の財産が差し押さえされる可能性もあります。

第四百五十四条 保証人は、主たる債務者と連帯して債務を負担したときは、前二条の権利を有しない。

引用:民法第四百五十四条|e-Gov法令検索

連帯保証人を辞めるには

いったん保証契約が成立している場合は、原則として連帯保証人は辞められません。

単に「後悔している」「辞めたい」という理由では、連帯保証人を辞めることは認められません。連帯保証人を解除するには、契約を取り消しできる理由があるかどうかが問題です。

連帯保証人を解除できる可能性があるとき

連帯保証人を解除できるケースには、大きく分けて以下のような場合があります。

  • 貸主と借主が連帯保証人の解除に同意した
  • 書面で契約していないなど、契約自体が無効である
  • 金額や条件をかん違いして契約している(民法95条)
  • 未成年である(民法5条2項)
  • 詐欺や強迫によって契約した(民法96条)

ただし個々のケースによって、実際に連帯保証人を辞められるかは変わってきますので注意してください。

判断は専門家に相談

連帯保証人を解消できるかどうかは、保証契約を結んだ事情を個別のケースごとに判断することになります。

ただし、判断するには詳しい法律の知識が必要です。自分が連帯保証人を解除できるかどうかは、弁護士など専門家に相談して判断を仰ぎましょう。

連帯保証人が借金を払わないとどうなるのか

貸主から支払い請求された後、連帯保証人が支払わないままだと状況は悪くなる一方で、最終的には差し押さえになります。詳しくみていきましょう。

放置すると状況は悪くなる

内容証明郵便などで支払いの請求がきた後に、支払わないままの状態が続くと貸主から督促されます。それでも支払わないと調停や訴訟で支払いを求められる可能性があります。

放置しても何も解決しません。むしろ貸主がどんどん手続きを進めていくので、余計に窮地に追い込まれるでしょう。放置すればするほど、事態は悪化していくと予想できます。

催告しても応じない場合には、支払督促、民事調停、民事訴訟、少額訴訟等の法的手続を使って支払を求める方法などがあります。

引用:詳細|法テラス

最終的には差し押さえになる

連帯保証人がずっと支払わない状態が続くと、最終手段として実行されるのが財産の差し押さえです。差し押さえになると、自分の財産を自由に動かせなくなります。裁判所を通して法的手続きを踏んだ上で、財産が差し押さえられ強制的に債権が回収されます。

「請求の内容証明を受け取ると財産が全部なくなってしまう」と恐怖を感じるかもしれませんが、請求がきてすぐ財産や家が差し押さえられることはないので、落ち着いて対処しましょう。

相手の財産を差し押さえるには、判決や裁判上の和解調書、強制執行を認諾する旨の条項が記載されている公正証書等など、公に権利が認められた文書(債務名義)が必要

引用:詳細|法テラス

連帯保証人が借金を払えない場合の解決方法

請求された金額が自分には払える見込みの立たない額の場合、個人再生手続きや自己破産手続きなどの対応策があります。また、相談先についても詳しくみていきましょう。

個人再生手続

個人再生手続とは、住宅ローンを払っている場合、ローンを支払い続ければ住宅を失わずに済む方法です。

返済総額を少なくして、その少なくなった後の金額を原則3年(最長5年)で分割して返済することができます。

個人再生手続は、裁判所を通して行います。認められるための条件が厳しく手続きも難しいので、申請するには専門家の力が必要です。会社員など、安定した収入がある人が対象の制度です。

返済総額を少なくして,その少なくなった後の金額を原則3年(最長5年)で分割して返済する

引用:個人再生手続について|裁判所

自己破産

住宅や預金などのまとまった財産がなく、借金を支払えるめどがまったく立たない場合は、自己破産を検討します。裁判所を利用し、全財産を債権者に分配し、残債務全額を免除する手続きです。自己破産すると財産はほぼすべてなくなりますが、借金も帳消しにできます。

裁判所を利用し、全財産 を債権者に分配し、残債務全額を免除する手続き

引用:金銭感覚編|金融トラブル防止のためのQ&ABOOK 2023年版

破産という言葉から、「周りに知れ渡って普通に生活できなくなるのでは」と思うかもしれません。自己破産によって、一定の公職や資格を要する仕事に就けなかったり、会社の役員になれないなどという制限がかかりますが、それ以外で社会的に不利になることはありません。

一定の公職や資格を要する仕事に就けなかったり,会社の役員になれないなどという制限があります。

引用:破産手続開始決定にともなう制限|破産(自己破産)の手続について

連帯保証人が困ったときの相談先

支払いができそうになく、困りきった状態ではわらにもすがる気持ちになるものです。しかし焦るあまり、怪しい業者の広告に惹かれることのないよう、気をつけてください。

借金に困っている場合、以下のような公的な場所で相談しましょう。

具体的な相談方法の例

参考までに、法テラスを利用する場合の相談のやり方を紹介します。法テラスでは条件を満たせば、無料で30分程度弁護士に相談ができます。何をどうすればいいのかわからない場合は、まず無料相談をしてみてください。

STEP1.法テラスのサイトにアクセスして、サポートダイヤルに電話

STEP2.利用できるかどうか確認し、近くの法テラス事務所に予約を取る

あとは予約した日時に、法テラス事務所に行くだけです。

連帯保証人は差し押さえを正しく理解し家族のためにも冷静な行動を

本記事では、連帯保証人になって支払いを請求されても、家族の財産には影響がない点を説明しました。

ある日突然、家や財産が差し押さえられるわけではありません。最終的に差し押さえになるまでにできる対応があります。

今すぐ取りかかるべきことを2ステップにまとめましたので、参考にしてください。

ステップ1.問題の洗い出しと状況整理

対処しなければならない問題を洗い出して、状況を整理しましょう。いつ、だれと、どうやって保証契約を結んだのか、残っている借金はいくらなのかなど、細かく確認してください。今の状況を正確に把握することで、取れる対策が見えてきます。

感情に振り回されず、打開策を冷静に考えます。個人再生手続や自己破産は、借金で経済的な窮地に陥ったときの救済措置です。選択肢の1つとして頭に置いておきましょう。

ステップ2.専門家に相談

状況がクリアになったら、1人で悩まず、弁護士など専門家に相談するのが次の行動です。連帯保証人に関する問題は、放っておけばおくほど重大な事態に発展します。問題解決のために、すぐに取りかかりましょう。

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