自己破産費用を払えない場合は、弁護士費用を分割払い、もしくは法テラスに立て替えてもらう方法があります。
自己破産の際には、借金問題に詳しく、分割払いに対応している法律事務所や法テラスが利用できる弁護士に依頼するのがおすすめです。
自己破産する際にかかる金額の詳細や、費用がかかっても弁護士へ依頼するメリットも見ていきましょう。
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自己破産する費用が払えない場合の対処
借金の返済が苦しくなり自己破産したくても、自己破産の手続きには30万〜60万円ほどの高額な費用がかかってしまいます。
自己破産費用が自分で捻出できない場合は、以下の方法で用意しましょう。
分割払いOKの弁護士に依頼する
自己破産を数多く取り扱っている弁護士は、依頼者の経済的な困窮状態を考慮し、分割払いを受け付ける場合が多くなっています。分割払いに応じてくれる弁護士を探して依頼するとよいでしょう。
多くの弁護士が、借金問題に悩んでいる人は、一括での費用の支払いは困難だと承知していますので、分割払いに応じてくれると思います。
引用:神坪浩喜,2021『借金問題解決法 99.9%解決できる!』みらいパブリッシング,p.91
法テラスに立て替えてもらう
法テラス(日本司法支援センター)では、利用条件を満たせば、無利息で自己破産費用を立て替えてもらえます。法テラスに直接相談するか、法テラスと契約している弁護士を探して相談しましょう。
生活保護を受けている場合は、立て替えてもらった費用の返済が免除される場合もあります。詳しくは以下で解説しています。
家族や友人に借りる
家族や身近な信頼できる人にお金を借りられるなら、正直に事情を話して費用を借りましょう。
言いたくない、心配をかけたくないなど心理的な抵抗が大きいかもしれませんが、何も解決しないままでは、結局身近な人に迷惑をかける事態になります。借金で行き詰まった状態から脱出して早期に経済状態を立て直し、借りたお金を返済する姿を見せて安心してもらいましょう
たとえ家族であっても借りた額を曖昧にせず、きちんと完済することも大切です。
自己破産費用が払えないときは法テラスの利用がおすすめ
法テラス(日本司法支援センター)は、国によって設立された法的トラブル解決のための「総合案内所」です。自己破産の費用を自分で用意するのが難しい場合、法テラスの利用を検討する価値があります。
ここからは、法テラスを利用する場合のポイントについて解説します。
法テラスを利用する最大のメリットは弁護士費用の立て替え制度
法テラスには、借金で悩んでいる人に対して、無料で相談に乗ったり、自己破産などをする場合の弁護士費用を立て替える制度があります。弁護士費用がないからと自己破産を諦める前に、まず法テラスで相談してみましょう。
経済的に余裕のない方などが法的トラブルにあったときに、無料で法律相談を行い、必要な場合、弁護士・司法書士の費用等の立替えを行う業務
引用:かんたん解説「法テラス」|法テラス
法テラスに費用を立て替えてもらうには条件が3つある
法テラスに弁護士使用を立て替えてもらうには、満たすべき条件が3つあります。
自己破産の場合の立て替え制度利用の条件
立て替え制度利用の条件 | 詳細 |
---|---|
(1)収入等が 一定額以下であること | 手取り月収額や貯金額の基準を法テラスのウェブサイトの基準表で確認する。 収入や財産が一定以上あると、立て替え制度は利用できない |
(2)勝訴の見込みが ないとはいえないこと | 破産が成立する見込みがあるか |
(3)民事法律扶助の 趣旨に適すること | 自分の生活を立て直すための自己破産が目的であれば問題ない |
貯金や財産がほぼなく手取り収入も低い場合、立て替え制度を利用できる可能性が高いと言えます。
法テラスを利用して自己破産をする手順
STEP1.法テラスを利用するには、まず無料相談を申し込みましょう。
無料相談の申し込み方法
- 法テラス・サポートダイヤル(0570-078374)に電話
- メールでの問い合わせ「メール受付 法テラス」
無料相談の予約を取ると、近くの法テラス事務所で30分程度の相談ができます。
ただし、相談する弁護士は選べない点に注意が必要です。予約日時にどんな弁護士が担当になっているかによって、相性がよくない弁護士にあたる可能性があります。
実際に法テラスに相談した人の声として、「相談したい問題について詳しくない弁護士だった」「アドバイスはもらえたが、熱意が感じられなかった」という意見も見られます。
日本弁護士連合会の検索(ひまわりサーチ)やココナラ法律相談などを活用し、法テラスの制度を利用できる弁護士を探す方法もあると覚えておくとよいでしょう。
STEP2.弁護士に法律相談し、立て替え制度が利用できるか審査を受けます。審査で認められたケースのみ、費用の立て替えが可能です。法テラスのウェブサイトでは、以下のように具体例が示されていますので、立て替え金額の参考にしてください。
ただし、裁判所に納める予納金は立て替えてもらえないので注意しましょう。
実際にかかる費用や返済方法は、個々の手続きの内容や経済状況などを考慮して審査で決定されます。
生活保護を受給している方を除き、自己破産事件の予納金は立替えの対象とはなりません。
引用:費用を立て替えてもらいたい|法テラス
実際の費用や返済方法は事件内容や経済状況などに応じ、審査にて決定いたします。
引用:初めての方へ|法テラス
自己破産の費用は30万~60万円程度かかる
金融庁の資料によると、自己破産の手続きをするには30万円〜60万円程度の費用を用意しなければなりません。
自己破産を考えるとき、まずはだいたいの金額と内訳を把握する必要があります。自己破産するための費用は、大きく分けて裁判所に支払う費用と弁護士費用の2つです。
裁判所に支払う費用は約2万円~40万円以上
裁判所へ納める費用は主に3つに分かれます。
裁判所へ納める費用3つ
- 破産申立書に貼る収入印紙代1,500円
- 裁判所が債権者や申立人に書類を郵送するのに使う郵便切手代約5,000円
- 破産手続きにかかる費用である予納金約12,000~40万円以上
この中で金額が高いのは予納金のみです。予納金が12,000円程度で済めば、裁判所に納めるのは全部で2万円ほどになります。
破産手続開始の申立てに必要な費用は次のとおりです(添付書類取得に要する費用は除きます。)
① 収入印紙
1,500円(免責許可の申立てをしない場合には1,000円)
② 郵便切手
管財事案 約6,000円(ただし,債権者数又は債務者数が20人を越える場合には追加が必要です。)
同時廃止事案 約5,000円(債権者数によって増減します。)
③ 予納金
管財事案 40万円以上(事案の内容によって増減します。)
同時廃止事案 約12,000円
破産の手続・自己破産の申立てを考えている方へ | 裁判所
予納金の金額は財産がなければ少額で済む
予納金とは、裁判所に破産手続きを進めてもらうために必要な費用のことです。
予納金とは、裁判所に破産手続きを進めてもらうために必要な費用のこと
引用:松岡慶子監修,2017『すぐに役立つ これならわかる 入門図解任意売却と債務整理のしくみと手続き』三修社, p.156
予納金が約12,000円から40万円以上と幅が大きいのは、自己破産には同時廃止事件と管財事件の2種類があるためです。2つのうちどちらになるのかは、自分にまとまった財産があるかどうかで決まります。
自己破産の種類 | 特徴 |
---|---|
同時廃止事件 | ・与納金が数万円と少額で済む ・自分に破産費用をまかなえるだけの財産がない場合に適用されるケースが多い |
管財事件 | ・与納金は高額 ・財産がある場合は破産管財人が選出されて管財事件になるケースが多い |
日本弁護士連合会のデータによると、自己破産のうち約7割弱が同時廃止事件です。
破産終結内容 同時廃止 68.55%
引用:2020 年破産事件及び個人再生事件記録調査|日本弁護士連合会
弁護士費用のおおまかな目安は30万円
自己破産のための弁護士費用は、金額に決まりがあるわけではなく各弁護士が決めます。
おおまかな目安は30万円程度ですが、条件や破産の内容で変わるので正確な金額は依頼する弁護士に尋ねてください。「分割払いは可能か」「分割可能な場合、毎月何万円ずつ払うのか」も契約前に確認しておきましょう。
弁護士費用は各弁護士が決められます。統一の基準はありませんが、同時廃止の場合で30万程度、少額管財事件の場合に40万円程度が一つの目安でしょう。
引用:ベリーベスト法律事務所,2016『自己破産と借金整理を考えたら読む本』日本実業出版社,p57
弁護士費用の目安 自己破産 30万円~50万円
引用:神坪浩喜,2021『借金問題解決法 99.9%解決できる!』みらいパブリッシング,p.90~p.91
自己破産するなら弁護士への依頼が近道
自己破産手続きにかかる費用のうち、大きな割合を占めるのが弁護士費用です。「弁護士に頼まず自己破産できれば、高額な費用をカットできるのに」と思う人がいるかもしれません。しかし現実的には、自己破産手続きをスムーズに進めるために弁護士へ依頼するケースがほとんどです。
日本弁護士連合会の調査データでは、自己破産を申し立てた人のうち9割以上が弁護士に依頼していました。以下に、弁護士に依頼する主なメリットを2点説明します。
調査対象者1240人について,弁護士が代理人として受任している申立人は1123人(90.56%)
引用:2020 年破産事件及び個人再生事件記録調査|日本弁護士連合会
自己破産の面倒な手続きを任せられる
弁護士に依頼すれば、自己破産の細かい手続きに関して自分で調べたり悩んだりする必要はありません。弁護士に法律上の処理を任せられるのが1つ目のメリットです。
借金返済に疲弊しているときに、難しい自己破産手続きを自分でするのは負担が大きいものです。弁護士に依頼して一日でも早く着手する選択が、借金問題の早期解決につながるでしょう。
弁護士に依頼すると借金の請求が止まる
弁護士は依頼を受けると、「受任通知」という書類を金融機関などの債権者に送付します。「受任通知」とは「今後は弁護士が代理人として債務整理を行っていく」と伝える通知で、これにより請求がストップします。
請求や取り立てが止まることで精神的に楽になり、借金問題に冷静に対処できる余裕ができるでしょう。
専門家に依頼する当初の段階でのメリットとして、依頼を受けて受任通知を貸金業者に出せば、請求がぴたっと止まる
引用:多重債務問題の構造と解決への第一歩|金融庁
自己破産・任意整理・個人再生を比較
弁護士に依頼して借金の問題を解決するには、自己破産以外にも任意整理や個人再生といった方法があります。任意整理・個人再生・自己破産の3つの特徴をわかりやすく解説します。自分にとってどの方法が一番適しているかは、個人の条件を考慮して弁護士と相談して決めると良いでしょう。
任意整理
任意整理とは
弁護士が直接金融機関と交渉して、利息や遅延損害金のカットや今後の分割払いについて取り決めること
- 毎月の返済額を減らせる
- 法的手続きではないため、裁判所に提出する書類などを作成する必要がない
- 借金の元金は減らない
- 給与など一定の収入があり、返済できる見込みがある人
お金を借りた人から依頼された弁護士・司法書士が、お金を貸した金融機関と利息のカットや長期の分割返済を交渉し、今後の返済計画を決める方法です。金融機関との任意の話し合いであるため、必ずしも交渉が成立するとは限りませんが、自己破産や個人版民事再生に比べて手続きが簡単です。継続的な収入があり、借金総額が比較的少額の場合に適しています。
引用:キャッシングやローン返済でお困りの方へ 借金問題は解決できます。まずは相談を! | 政府広報オンライン
個人再生
個人再生とは
借金を圧縮して減額し、継続的に返済していけるようにする法的手続き
- 家を手放さなくてよい
- 借金が大幅に減額できる
- 裁判所を介して行う法的手続きであるため、書類準備などの労力や決定までの時間がかかる
- 給与など継続した収入があり、一定の返済能力がある人
- 自宅を維持したい人
借金の返済ができなくなった人が弁護士・司法書士を通じて裁判所へ申し立て、裁判所の関与の下、再生計画を立て、計画に沿って借金を返済する方法です。住宅を維持したまま債務整理できますが、任意整理や特定調停にくらべ適用条件が厳しく、手続に費用と時間もかかります。定期的な収入があり、借金をしている金融機関の数や借入額が多い場合に適しています。
引用:キャッシングやローン返済でお困りの方へ 借金問題は解決できます。まずは相談を! | 政府広報オンライン
自己破産
自己破産とは
借金を支払い不能になった人が裁判所に申し立て、借金を全額なくす法的手続き
- 借金が全てなくなり、一切支払わなくてよくなる
- 家や車などを含めた財産がある場合、手放さなければならない
- 財産がない人
- 借金額が大きく、返済できる見込みがたたない人
借金を返済できる見込みがない場合、裁判所へ申し立て、借金を帳消しにする方法です。裁判所より免責が許可されれば借金から解放されますが、持ち家や自動車などの財産を失います。なお、借金の原因がギャンブルや投資行為である場合、免責されない可能性があります。
引用:キャッシングやローン返済でお困りの方へ 借金問題は解決できます。まずは相談を! | 政府広報オンライン
自己破産の費用が払えないと思っても方法はある
自己破産を考えるほど借金の返済に困窮しているなら、債務整理に強い弁護士に相談するのを最初の目標にしてください。弁護士費用など破産手続きの費用については、自己資金がなくても用意する方法があるので、諦めず行動することが重要です。不安やストレスに負けず、借金問題の解決へ向けて動き出しましょう。